代理出産体験記その35-生まれた

2016年01月09日 | 石原理子の代理出産体験記 |  コメント (0)

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朝の6時の便で夫はこちらに向かっており、到着するまでの間
私のすることと言えば、代理母の背中をさするくらいしかない。




看護婦さんは行ったり来たりしているが
ドクターは全く出てこない。
本当にいるんだろうか。
ま、まだまだ余裕だってことですかね。




代理母は「絶対に麻酔を打ってくださいね」
としきりに看護婦さんにお願いしている。
以前麻酔医が不在で
無麻酔で産んだことがありとても
つらかったからだ。




空港から電話があり、今夫は到着しこちらに向かっているという。
30分くらいで着くというので
看護婦さんにもそれを伝えた。
「この感じだと間に合うわよ」




10時すぎにようやく夫も到着した。
起きがけのまま来たって感じで
髪はぼさぼさー。



看護婦さんが、
「赤ちゃんが出てきたら誰がへその緒切りますか?」
「どうやって切るのかわかんないけど、俺がやってもいいよ」
と、夫。



「それから赤ちゃんが出てきたら誰に一番最初に渡したらいいかな?
お母さんのあなたね?」



あ、そうか。私は今日から、子供の生まれた瞬間から「Mother」なのだ。



夫は代理母の頭の方に立ち、そして
私は代理母の真横に立ち
彼女の手を握っている。


苦しそうな顔。
うんうんうなっている。
かわいそう。
ごめんね、私のために。
少しでも苦しみを吸い取ってあげたい。



看護婦さんが
子供が十分下の方に降りてきていて
もう黒い髪の毛もそこに見えているよと
教えてくれた。



髪の毛が見えてから徐々に子供は出てきて
やっとドクターも登場。



肩の部分でずいぶん長い時間止まっているように見えた。



代理母の顔は今まで見た事のない顔になっていた。
どうって・・・
これ以上ない苦しい顔。
うーん、うーんといきんでいる。



肩が出るのが大変そうに見えたが
そうこうしているうちに窮屈そうに出てきた。



なんかどす黒くて血まみれの赤ちゃん。
まるでチキンを扱うかのようにドクターが取り上げた。




小さい声でオギャーと泣いた。
おめでとうと看護婦さんがささやいてくれた。

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