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ともこの卵子提供物語その14-不妊治療院

*卵子提供経験者、ともこのブログコーナーです。

その日、午前7時の予約に間に合うように家をでた。

シングルマザーの私は、
眠気が覚めぬ5歳の息子を抱いて、
車に乗り込み、6時すぎに託児所に預けた。

外は、まだ薄暗い。

いつもと違うフリーウェイ。

初めていく不妊治療院。

このクリニックで、わたしが、卵子提供者として、
適切かどうか判断する、
医療検査をうけことになった。

ロサンゼルス近郊にあるパサディナという街。
古い街並みと、新しくてオシャレな店がうまく調和している。
治療院は、そんなオシャレな繁華街の、
少し離れたところにあった。

でも、方向オンチのわたしは、
まだ見知らぬ街では、
いつも以上に運転に気を使い、
その街並みを楽しむ余裕すらない。

不妊治療院のドアをあけると、
すぐ待合室になっていた。

何人か、患者さんが待合室に座って、
雑誌を読んでいる。

すると、タイミングよく、
卵子提供エージェントのSさんが
待合室にはいってきた。

彼女は、わたしの初めての検査ということで、
いっしょに来てくれることになり、
わたしも心強くなった。

彼女は早速、受付のひとに手際よく私のことを紹介してくれた。

「これから、採血をしますので、こちらの部屋へきてください。」
と看護助手のひとに連れられて、
血液検査の部屋へ入った。

注射の針は実のところ苦手だ。

針がチクリと腕に差し込む瞬間、
おもわず、視線をそらし、周りをみわたす。

「うわ~。」

すると、私の視線は、ある一箇所でとまった。 (つづく)