精子提供の実態

2012年10月07日 | 精子提供 AID 精子バンク |  コメント (0)

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精子提供の実態についてのコラムをびびなびに掲載しました。
ここにも載せておきますね。

前回 は不妊の原因として精子に問題がある人が結構多いという話でした。 一向に妊娠する気配がないのなら 「ああ、もしやうちも… ?」 とちょっとは疑ってみるべし。 善は急げ、念のため精液検査をしてみてください。 その結果、万が一精子に異常があったとしても、今は医療のテクノロジーに助けてもらえることもあります。 それでも難しい人のために、今日は 「精子提供を受ける」 お話です。





昔から盛んにされていた 「精子提供」

日本では第三者からの精子提供 (非配偶者間人工授精 – AID という) は戦後まもなく実施され、なんと60年以上の歴史がある。 戦後、帰還した多くの日本兵が無精子症になったことから、この技術は普通の治療として行われてきた。 日本では慶応大学病院が中心となり若い健康な医学生たちが提供者となって協力してきた。 生まれた子供たちは1万から2万人とも言われている。 提供者の情報は、血液型は明かされるが匿名で、他の情報は何もない。

日本マクドナルド会長だった故・藤田 田さんは大学時代に精子提供のアルバイトをしていたそうだが、銀座を歩いていて自分に顔が似ている人に会うと、もしかすると自分の子かもしれないと思ったと言う。 どれくらいの回数提供したのかは不明だが、かなりの数のご夫婦の先に提供されていたとしたら、血を分けた子供がたくさんいて、街でばったり会ってもおかしくない。

精子を提供するには身体的リスクはないため、卵巣から卵子を取り出す卵子提供から比べると簡単に事が進められるような錯覚がある。 でもそれはプロセスだけのこと。 基本的には医療的に検査済みの精子を、タイミングを合わせ女性の子宮内に注入するだけの簡単なものなのだ。 ただし、誰もが医療検査にパスするわけではなく、現在日本では精子ドナーは減っているそうだ。

精子提供による血のつながりは母親だけ、そして産むのも母親ということで、父親が子供を授かるというステップに関与していないかのように思われがちだ。 ここが卵子提供とは大きく違う。 提供を受けるときはどんな場合でもそうだが、夫婦の間で充分な話合いが必要だし、特に精子提供の場合は妻が夫に対して思いやる気持ちも大切だ。 そして何よりも、このような形で授かった子供を何があっても2人で守り育てていこうという、確固たる強い思いがなければ踏み込んではいけない。 昔は、子供には事実を隠し通すというのが一般的で、子供が何かをきっかけに知ってしまうということは想定外だったのか、もしくは、そこに目を向けようとしなかったのかもしれない。 妻の一存で進めた精子提供、自分とはつながりのない子供を抱こうとしない夫、それを不審に思う子。 離婚を機に事実を知ってしまった子。 長年に渡り、このように進められてきたにしては子供への配慮に対して随分おざなりな部分が多いのが事実だった。 しかし、ここ数年で出自を知る権利や告知に関しても議論がなされている。





日本の 「精子バンク」

日本にはきちんとした 「精子バンク」 は存在しない。 アメリカには大きな精子バンクが数社あるため、その感覚で、日本語で 「精子バンク」 と検索するとなんだか怪しそうなものがたくさん出てくる。 なになに… えーっと、無償で提供か… 良心的なことが色々書いてあるな…。 そして読んでいくうちに、「直接性行為でも」 とあり 「駅のロッカーで会わずに (入れ物にいれた精子を) 渡す」 というのもあり、なんだかすごい世界に入りこんでしまったのである。

上記 AID をしているクリニックにいき、そこを通じて提供してもらう方法が一番確かなのだが、先ほどお知らせしたように、情報は血液型のみで匿名で 「遺伝上つながりのある人」 を知る道は閉ざされているのが現状だ。 そして結婚している夫婦にしか適用されない。





アメリカの 「精子バンク」

アメリカの精子バンクのサイトを見ると、身長、人種、肌の色、髪の色、髪の質、目の色、血液型から検索でき、教育レベルや専門分野もみれる。 ドナーによっては子供のころの写真を見せてもらうこともできる。 希望によりエッセーが読めたりする。 またドナーが俳優や有名人の誰に似ているかというのも知ることができる。 そして、その似ている俳優やら有名人のことを知らなくてもその名前のところをクリックすれば、その有名人の方たちの写真が一覧できるので 「こんな感じね!」 と実際にそのドナーに会わなくても、それからかなり想像は膨らむのである。

アメリカでは、精子バンクの普及と共に、独身女性が精子提供を受けて母になるケースも多いため、同じ精子ドナーから生まれた子どもの横のつながりがもてるように、Donor Sibling Registry というシステムがあり登録できるようになっている。 みんなが半分は血がつながっているということで似たような顔もたくさんある。 シングルマザーでもこのような繋がりがあるというのは孤独にならなくて心強いという。

その昔、お客様のために精子バンクでドナーを探したことがある。 日本人ドナーは血液型のマッチングをすると極端に少なかった。 選択するというよりもこの人でOKかどうか、というレベルであったが、却下する理由も特になかったので、その人の精子を購入することになった。 精子バンクに連絡をしてその希望の精子を予約し受け取りにいった。 $600なり。 支払いをするとすぐに精子が入ったタンクを持ってきてくれた。 精子が入っているのはとても小さいバイルなのだが、窒素入りのタンクで保管移動しなければならず、それが結構大きい。 私が受付からそのタンクをもらい持ち上げて、えっちらおっちら出口に向かって歩いていると、待合室にいた男性が 「Good luck !」 とにこっと微笑んでドアを開けてくれた。 「車まで手伝いましょうか?」 とも言ってくれた。 「大丈夫ですよ、有難う」 とお礼を言ってそこを去ったのだが、ああ、あの人は私が独身女性で精子を買いにきたと思ったのかもしれない。 それとも私が同性愛者だと思ったかな、と色々考えながら車まで歩いていた。 ところで、あの人こそ一体あそこに何をしに来てたんだ? ドナーとして登録に来ていたんだろうか? と一人で想像をしてみた。 人それぞれ様々な理由であの門をくぐるのだ。

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