「精子バンクでドナーを決めました」
とラボの担当者に報告。
「では、書類をファックスしますので
すぐにお客様にサインをもらって送り返してください」
急いで済ませ、2時までにそのラボに精子を
届けることになった。
今度はラボの担当者に連絡をし、
受け取りはエージェントの私ひとりでも大丈夫との
確認をとり、
お客様に
「では行ってまいりまーす」と
言ったものの
はたして時間に間に合うんだろうかと
気になってきました。
精子バンクに到着。
ここにたくさんの生命の源となるものが
たくさん眠っているんですね。
入り口で名前を名乗り、受付の人が確認のうえ
ドアを開けてもらいました。
ひっそりとした受付で誰も座っていません。
「電話で申し込みをした精子を受け取りに
きました」
というと、奥から男性がタンクを持ってきました。
精子は小さなバイルに入っているはずなのに
こんな大きなタンク??
「そんなに大きいんですか~?」と聞くと
「ちょっと重いわよ」といわれました。
「タンクはあとで返してください。
今日のお支払いは$600です」
ということで、とても手続きは簡単でした。
そんなやりとりをちょっと前に入ってきた
男性がみていたようで、
私と目があうと
「Good luck」(がんばってね)
と声をかけてきました。
どうやら私自身のために、精子を買いにきたと
思っているらしい・・・・。
そして、私がタンクをよっこらしょと持ち上げたところ
やはりちょっと重そうにみえたらしくその男性が
「Can I help you?」などとまたもや声をかけてくれました。
手伝ってもらうほどでもないけれど、と思い
「大丈夫です」といって出口近くなってきたら
やさしくドアを開けてくれて
彼はまた真剣な顔で
「Good luck」を繰り返しました。
なんか妙な気分でしたが
「Thank you」といいました。
果たしてあの彼はなぜあそこにきていたのかな、
などとラボへ精子を運ぶ途中考えました。