代理出産体験記その2―決断のとき

2008年03月30日 | 石原理子の代理出産体験記 |  コメント (0)

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子供を自分の子宮で産むか、他人にお願いするかを瞬時に決断なんてとうていできない。そんなこと出来る人なんているはずない。



「ちょっと1週間時間ちょうだい」と主人に言った。



主人の心は、そのときにはもう決まっていた。「もうあんな姿みたくないよ」と言った。



私の子宮が前回の妊娠中、裂けてしまったとき、救急病院で痛みと苦しさのあまり、叫び声をあげていた私を忘れることができないらしく、もうそんなことは2度とあって欲しくない、主人はそういう気持ちだった。



でも私は、今度は大丈夫かもしれないよね、最後まで私の子宮は裂けないかもしれないじゃない、といいように考えようとした。やはりわが子を産みたいのだった。



女に生まれた限り、妊娠・出産を経験して母になりたかった。主人と一緒に胎動を感じたり触ったりして妊娠を二人で楽しみたかった。



多くのリスクを抱えて10ヶ月もの妊娠期間を過ごすのは精神的に耐えられないと思う自分と、少しもの可能性にかけて恐怖を打ち消す自分がいた。



そんな揺れ動く自分の気持ちをどうすることもできなくて、遠くへ住んでいる妹へ電話をした。



「私の子宮で産むことが、かなリスクがあるんだって。もしかしたら大丈夫かもしれないけど、また子宮が裂けると思うと怖い・・・」



「じゃ、私が産んであげるよ」



「え・・・ええっ?」



妹がそんなことを言うなんて夢にも思ってなかった。でも言ってから



「でも、姉妹でそんなことができるのかな?」



「わからないよ」



「もしできるんだったら、私が産んであげるから大丈夫だよ。」



私はなんて言っていいのか返す言葉に困った。



すごいことを言っているの、わかっているんだろうか?



妹は二人の子供を産んでいる。妊婦の間も結構エンジョイしていたし、自分にとって妊娠は苦では無いと言った。



代理出産は他人がするもんだと漠然と思っていた。それはドクターが代理母の候補は何人か思い当たる人がいるとか言っていたからかもしれない。そういう人に頼むときのことを自分でも気がつかないうちに考えていたのだろう。



主人に話してみた。妹が産んでくれると言っていると。他の代理母のことを考えていた主人は、妹が産んでくれるのだったら安心だけどだんなさんは反対ではないのかと聞いてきた。



そうよね・・・そんな一人の意見では決められない。いくら姉妹だって人の子供を妊娠するということは簡単なことではないものね。



そして私はなんといっても代理出産は未知の世界で、どうやって進んでいくのか知りたかった。そう、リスクなども全て知って納得した上で結論を出そう。



ドクターは妹の協力については大賛成だった。なかなかそういう姉妹はいないよ、と言った。リスクは体外受精をするので受精卵をたくさん入れれば、双子、三つ子の可能性もあるとのこと。妹は38歳だったのでそんな年でも出来るのかと聞いたが代理母は子供を産んだことがある人でなければなれない、また色々な検査があるし子宮を見た上で決めるが、それで問題なければ大丈夫でしょうと言った。ご主人の協力もいるよ、と言っていた。



身内でそういうことが出来るとわかった今、また新たに考えることがでてきた。



普通、アメリカでは代理母には謝礼金を支払う。心身ともに大変な妊娠期間を過ごさないといけないので労力と割いてくれた時間に対してだ。



私は妹だからといって、姉妹という立場を利用することだけはしたくない、と主人に話した。妹であれ全くの他人であれ、代理母の役目としてすることは一緒だし色々なことを妹に対してもフェアにしていきたいと思った。妹ができるだけ気持ちよくこのことを受け入れられるように考えていきたい、と主人に話した。



主人は「あなたの代わりになってくれる人だからあなたがどうしたいか決めたらいい。たった二人の姉妹だから一番彼女のことよくわかっているでしょ」と言った。



そう、妹のことは私が一番よく知っている。私は今になって妹が「私が産んであげるから大丈夫」と言ってくれたことに対して、彼女の優しさと寛大さをひしひしと感じていた。



私自身色々と心の中で葛藤があった。でも自分の卵子を使うということでそんなにゆっくりと考えてもいられなかった。



決断しよう。そう思い受話器をとり妹に電話した。

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